首相補佐官に柿崎明二氏(共同通信社から転身)
横手高校第76期 昭和55年3月卒 横手市平鹿町醍醐出身
秋田県出身者の就任は菅直人政権で平成22年から務めた、横手高校第91期寺田学(衆議院比例東北、立憲民主党、中央大学卒)氏以来である。9月29日、首相補佐官に共同通信社前論説副委員長、柿崎明二氏(59歳)を充てる人事を閣議決定した。発令は10月1日付けで就任し、政策の立案と検証を担う。9月30日付けで共同通信社を退職する。
首相官邸によると、国会議員を経ずに報道機関出身者が首相補佐官に就任するのは初めて、加藤勝信官房長官は記者会見で、「幅広い知識と経験を有しており、補佐官として適任であると総理が判断した。これまでの知識、経験を踏まえて政策全般について評価、検証、改善すべき点について、必要に応じて首相に進言していただく」と述べた。
柿崎氏は昭和36年横手市平鹿町醍醐生まれ。横手高校第76期(昭和55年3月卒)、早稲田大学一文卒。毎日新聞社を経て昭和63年共同通信社へ入社。首相官邸、自民党、民主党などの取材に当たり、政治部、論説委員などを経て令和元年から論説副委員長。
TBS「ひるおび!」やフジテレビ「とくダネ!」などに出演し政治を解説してきた、お茶の間でおなじみの政治記者。安倍政権に関する著書がある。自民党関係者は「無派閥の菅首相にとって、柿崎氏は元々、永田町で最も信頼する一人,さまざまなことを相談するブレーンだった」と語る。政界関係者は「テレビでのコメントで安倍政権はバッサリ斬っても、菅氏には優しいところは出ていたように感じる」と振り返る。
菅氏は安倍政権を支えた官房長官時代、「政権が世の中にどう映っているのか」など、世論の動向を柿崎氏に相談していたという。また、永田町関係者は「今回の総裁選についてのさまざまなことを全て柿崎氏に相談していたようだ」と語る。菅氏は補佐官就任の打診を政権発足直後に行ったとみられ、柿崎氏の残務整理の終わったこのタイミングでの発表となったようだ。党関係者は「柿崎さんは、安倍首相をブレーンとして支えた首相補佐官の今井尚哉氏のような存在になるのではないか」と話している。
永田町には「ジャーナリストの田崎史郎氏のように政権との距離を生かしたコメンテーターになれば菅さんにも良いのに」との声もあるが、テレビ関係者は「柿崎さんは菅政権ができたとしてもポスト田崎にはならない。その時には卒業すると宣言していた。「近くで支える決意があったのでは」と話す。
首相補佐官は官邸機能強化を目的に、平成8年の内閣法改正で導入された。首相の指名で閣議決定する。民間や官僚から自由に任命でき、内閣官房の官職一つで、特定の重要政策の企画や立案に当たる。定数は5人以内。現在は3人で、木原稔氏と和泉洋人氏は再任。新たに任命された阿達雅志氏は無派閥で菅氏を支持するグループに所属している。木原氏が国家安全保障、和泉氏が国土強靭化、阿達氏が経済・外交を担当する。